私は、あらゆる装飾を排し簡潔なフォルムを果敢に追求したロシアのシュプレマ ティスト、カジミール・マレーヴィチに触発され、彼の代表作にちなんで、コン ピュータの中だけに存在するような黒い正方形をあれこれ考えはじめた。と同時に、 子供達がどういうふうにコンピュータに接するかに関心を抱いた。マウスやキー ボードと格闘しながらではなく、気楽に喋ったり歌ったりするだけでコンピュータ が答えてくれるようにできない だろうか。こうして マイクを使って話しかけると 正方形が反応する"Reactive Square" ができあがった。正方形に向かって声を発し たとき、私はニュートンの第二法則「作用のあるとこ ろかならず反作用が生じる」 を思い出した。厳密に言うと、この正方形はインタラクテ ィヴではないのである。 コミュニケーションをしているわけではないのだ。それらはただ音声 入力の反作用 を見せているだけなのである。